Raspberry Pi + IrBerryDAC でハイレゾ対応のポータブルオーディオ作った(電子工作編)
日本で発売開始になった直後にとりあえず面白そうだから購入しておいた Raspberry Pi ですが、触ることもなく2年以上も眠ったままになっていました。
昨年末辺りに丸善で Interface 2014年9月号「ハイレゾ本格デビュー!ラズベリーパイが最高 Linuxオーディオ」なる本が目に止まり購入。Raspberry Pi用DAC基板 IrBerryDAC なるものが存在し、電子工作することで Raspberry Pi でハイレゾ音源のメディアプレイサーバやポータブルオーディオにできることを知りました。
僅か 8,000 円の IrBerryDAC を組み合わせれば、Raspberry Pi を 24bit/192kHz 対応の I2S 接続 DAC に進化させることができます。結論から言えば、個人的な経験から明らかに3万円クラスのポータブルアンプ以上の音がなっています。Raspberry Pi 本体と合計しても 1.4 万円程でこの音が出来入ると考えれば、超絶お得です。
ただし、ハンダ付け含む電子工作が必要なので僕のような素人にはハードルは相当高かったのが正直なところです。
Raspberry Pi や IrBerryDAC など必要な機材を揃えよう
今回の電子工作を行うにあたり必要な機材をざっと列挙してみます。
1. Raspberry Pi Type B 512MB (6,380円)
Raspberry Pi 本体がないと話が始まりません。しかも IrBerryDAC と組み合わせるためには今主流の Type B+ ではなく、Type B 512MB を入手する必要があります。
2. RaspberryPi用DAC基板 IrBerryDAC (8,000円)
続いて IrBerryDAC を入手します。基板作者の配布サイトから購入方法に従ってメールにて注文依頼を出します。一時期は品切れ中でしたが、2015年1月現在は在庫があるようです。IrBerryDAC は 2,000 円の高級CRオプションを選択したほうが良いです。千石電商で同じコンデンサを購入するほうが高く付いてしまいます。本当にお得です。
この IrBerryDAC ですが DAC の IC チップは Texas Instruments 社の Burr-Brown ブランド PCM5102A を用いています。個人的には Burr-Brown ブランド大好きで特に PCM1792A 最高と思ってる派です。ちなみに PCM5102A は実売価格5万円オーバーの高級 USB-DAC Luxman の DA-100 にも使われている DAC-IC です。スペック的にはこんな感じ。
入力サンプリング周波数 | 8k-384kHz |
8倍オーバーサンプリングデジタルフィルタ内蔵 | 44.1kを352.8kHzに変換、48k->384kHzを変換 |
ビット深度 | 16、24、32bit |
S/N比 | 112dB |
ダイナミックレンジ | 112dB |
THD+N | -93dB |
出力電圧 | 2.1Vrms |
PCM5102A を使っている理由は Raspberry Pi との組み合わせで様々な制約がある中から選んだとのこと。詳細は Interface 2014年9月号 の P49,50 で読むことができます。
3. はんだこてセット (約5,000円)
半田付けをする機材一式を持っていなければ、はんだこてや糸半田などを用意する必要があります。僕は安物のはんだこてを買ってしまったのですが正直大変使いづらい。安物のはんだこてを使ってしまった結果、温度調整ができない&パワー不足による熱不足でイモはんだ状態になってしまいました。
はんだ付けの秘訣は使うはんだこての性能に多分に依存すると言われているそうです。少なくとも温度調整可能なランクのものを手に入れるとよいでしょう。ネット情報では白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600 がおすすめのようです。
はんだこてを置く台も必須です。はんだ付けをする前に必ずこての先端はクリーニングする必要があります。こて台にクリーナーが付いてる台を購入したほうが良いです。
糸はんだ(巻はんだ)が使い勝手が良いです。また音質を気にするなら鉛フリーが良いとされています。鉛フリーは若干融点が高くなるため、はんだこての性能が必要になってきます。
はんだの付け方はいろいろ調べましたが、「株式会社ノセ精機 はんだ付け基礎講座 WEB版」がとても参考になりました。「今さら聞けないハンダ付けの仕方 〜 はんだ付けの基本」も参考になりました。ハンダ付け作業を行う前に一読されることをおすすめします。
IrBerryDAC をロープロファイル仕様で組み立てる
いよいよ電子工作です。基本的な組立順序は「IrBerryDAC 組み立てマニュアル」のとおりですが、今回は Raspberry Pi 用の既存のクリアケース内に収まるようにロープロファイル仕様で組み立てすこととします。マニュアルの後半にさらっと記載されている部分がポイントです。
・PIC マイコンはソケット無しでハンダ付け
・C20 は、RaspberryPi の部品と干渉するので取り付けない
・他に干渉する部品がないか確認しながらハンダ付けする(フィルムコンデンサは斜めに付けるなどの工夫が必要)
何しろ素人なので裏表が逆になると、この方向であってるんだろうか?ってレベルで不安で仕方ありませんでした。一応この手順で正常動作しましたのでご参考になればと思います。
1. 抵抗をマニュアル通りの手順で表面から挿して裏面でハンダ付けする。抵抗は赤い部分が向き合うように付けます。
2. PIC マイコンはソケット無しで表面から挿して裏面でハンダ付けする。マイコンの向きは下記写真の左側から見た場合にマイコンに印字された文字が順方向になってるようにします。
3. RaspberryPi の P5 ヘッダへ8ピンピンヘッダをハンダ付する。ピンの間隔が狭く、隣に既存のピンが沢山並んでいるため素人には難易度が高かったです。
4. フィルムコンデンサを裏面から挿して表面でハンダ付けする。マニュアルの記載とは異なりコンデンサは真っ直ぐ指しても Raspberry Pi の部品に接触することはありませんでしたが、Raspberry Pi に挿してみて接触するか確認してからハンダ付けするのがよいでしょう。コンデンサの向きは文字が印字された面が奥、5という数字が印字された面が手前になるような方向です。
5. 9つのOS-CONを裏面から挿して表面でハンダ付けする。OS-CONの向きは基板に印字されたマークに合わせます。個人的には一番難易度が高かったハンダ付けで、ハンダで基板のランド(同色の部分)側とOS-CONのリード線(足の部分)を同時に過熱するのが難しく、全然ハンダがくっついてくれませんでした。個人的にはリード線を先に短く切ってからハンダ付けしたほうが付けやすかったです。安物のはんだこてを使っていたので、最後までイモはんだ以上の接着ができませんでした。
ちなみに上記のように全てのOS-CONを真っ直ぐにつけると、上記写真でいうところの一番左手前のコンデンサが Raspberry Pi 側のコンデンサとモロ接触します。多少斜めに付けても下記のようにコンデンサ同士が接触して斜めってる状態になってよろしくないと考え、思い切って切ってしまったリード線を再度ハンダ付けして伸ばして、下記写真の様にOS-CONを倒してハンダ付けしました。手持ちのポタアンでもコンデンサを倒してハンダ付けしてある機器もあるから、こんな付け方もあり?と思ってます。もちろん仕上げに絶縁テープで上から絶縁しておきました。
6. IRセンサーを根元辺りでJの字に足を曲げて裏面から挿して表面でハンダ付けする。既存の箱によっては、センサーを斜めに倒さないと箱に当たる場合があります。
7. 3.5mmステレオジャックと基板の AUDIO OUTPUT を耐熱電子ワイヤーでハンダ付けする。一応わかりやすいようにGNDは黒、Rは赤、Lは白とします。秋月電子などでステレオジャックは60円、ワイヤーは550円で購入可能です。Amazonでも購入できます。この工作がなければDACとして機能しても音はなりません。今回はポータブルオーディオとして使いたいので、イヤホンを挿すための3.5mmイヤホンジャックを搭載することとしました。
8. Raspberry Pi の P1 ヘッダに合わせて IrBerryDAC を合体させた後に USB ケーブル経由で電源をいれてみる。正常に通電するようであれば、Raspberry Pi 側は赤いPWRランプが点灯、IrBerry側はD2ランプが赤く点滅するでしょう。もし焦げたような匂いがする場合は即座にUSB電源を落として各種パーツの方向などを再確認してみましょう。
9. Raspberry Pi と IrBerryDAC を合体させて、既存のクリアケースに収めてみる。購入済みのケースによっては IrBerryDAC があたって旨く収納できないかもしれません。その場合は諦めましょう。ちなむに下で紹介するクリアケースはちょうどよい収まり具合で収納可能です。
僕が購入したクリアケースはこちらです。
お疲れ様でした。ここまでで一旦電子工作編は完了です。
実際に音を鳴らすには、SDカードに volumio を入れたり、無線LAN子機経由で Wifi につないだりとソフトウェア的な設定がもろもろ必要です。それは次のパートでご紹介します。
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